歯科医院のリアルな医業収入規模【I:歯科時流と開業立地選定2/5】

さて、話はかわりますが、1回保険で一人の患者さんを診療すると大体何点くらいになっているかはご存じでしょうか。

もちろん1点が10だということは周知のことかと思いますが、少しよく思い出してみてください。もちろん地域差があります。なんでも、京都や福岡は保険の算定が厳しいらしいので、一概には言えない部分もありますが、これはおおよそ500点くらいだといわれていますので、ここでは仮に500点、つまり5000円だとしておきます。ただし、大阪ではこれはもう少し高い傾向にあります。

そうしますとA町の歯科医院の平均的な医業収入は自費診療を行わず、100%保険のみで診療をした場合は、1件あたり80000円程度ということになりますね。

では週休2日の医院で、月23日診療を行っている一般的な医院の場合ですと、月の医業収入は180万から190万円程度ということになり、200万円に手が届いていない状況が見えてきます。

これはレセプト何枚に該当するかといえば、おおよそ120枚前後ということになります。(これはレセプト一枚あたり1500点で計算した場合です)

なんとなく数字に具体的なイメージをもっていただけたことと思いますが、さて、月の医業収益が200万円弱という数字についてどのように思われるでしょうか?

では、次に、毎月医院が支払わないといけない費用について考えていきましょう。

必要経費としましては、材料費、外注技工料、水道高熱費、交通費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、消耗品費、福利厚生費、人件費、家賃、リース料、税金などがあげられると思います。

さて、200万円弱からこれらの経費を引いていくと、手元に幾ら残るのでしょうか。

まず、材料、技工代合わせると大体2割弱くらいですから、ざっくり35万円としておきましょう。水道光熱費が3万、通信費が2万で、広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、消耗品費、福利厚生費を合わせて10万円として、家賃が30万円とした場合、この時点で120万円も残っていない計算になります。

ここから人件費を引くことになりますが、助手2人衛生士1人でどれだけ安くみても50万円はかかりますから、これを引くと手取りにして70万円残らない計算になります。

さらにここから開業時のローンやリース料金を支払うと、一体どれだけの金額が手元にのこるのでしょうか。

開業すると、給与計算、事務、スタッフの管理、経費の支払い業務などなど、診療以外での仕事が増える割に勤務医のころと収入はあまり変わりない、または逆に減ってしまうといったことが起こったり、最悪、歯科医院が倒産してしまうリスクを背負わなければならないなどが原因で、最近では開業を見合わせる先生方が増加しています。

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