経営理念【Ⅱ:医院は何のために存在するのか、医院経営をどういう目的でどのような形で行うのか】3/8

ここで、経営理念という言葉について少しお話をしておきたいとおもいます。
先ほどの「開業動機」に続きまして、今回のキーワードの2つ目が「経営理念」という言葉です。
さて、この経営理念ですが、これは簡単に言うと「医院の存在意義や使命を(普遍的(すべてのものに共通してあてはまるような)な形で)表した基本的価値観」ということになります。
つまり、この経営理念を通じて、従業員や、医院に来院する患者さん、取引先の業者など、医院に係わるすべての人々に対して「この医院は何のために存在するのか、医院経営をどういう目的でどのような形で行うのか」といった基本的な考えを知らせる柱となります。
また、従業員に対して行動や判断、仕事への姿勢の指針を与える重要なメッセージにもなります。
実際、ほとんどの企業は、この経営理念を社員に対して広く知らしめ、会社経営の基本としており、成功している企業ほど、経営理念が明確だと言われています。
この医院の経営理念、診療理念が確立されており、これに賛同、共感するスタッフが多ければ、医院内の求心力は高まり、院長と一緒に目標を達成しようという良い刺激になると考えられます。
余談ですが、ここである世界的に成功した会社の経営理念を紹介させていただくことにします。
この会社はみなさんも必ずご存じの会社で、その経営理念とは、「私たちの使命は生産、販売活動を通じて、社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること。」というものですが、これはどこの会社の経営理念かご存じのかたはいらっしゃいますか?
これはPanasonic の経営理念です。
これを歯科風に置き換えてみると、「私たちの使命は、歯科診療を通じて、公衆衛生の向上と健康増進を図り、地域医療の進展に寄与すること。」というような感じになると思います。
この経営理念というものは、どうしても少々建前的になる傾向があると思いますが、それに対して、開業動機というものは限りなく先生自身の本音である必要があります。
しかし、本音だけでは、やはり体裁を伴わないこともあるでしょうから、本音である開業動機を明白にしたうえで、次に私がお話する開業前自己分析を行い、冷静に自分自身を分析した後で、この経営理念という建前で体裁を整える必要があります。
まず開業を思い立ったなら、場所選びの前に、これらを必ずしなくてはいけません。