テナントの維持にかかる費用とは【Ⅲ:実際の開業事例に基づく成功する医院立地】4/8

では最初の物件A について見ていきましょう。

どんどん穴埋めをおこなって行ってください。

A テナントの家賃は月20万円ですから、年間家賃は240万円で、このテナントの維持に係る電気代はおおよそ月額4万円とします。実際の電気代には月によりばらつきがあり、7月、8月などの真夏は空調代がかさむ傾向にありますから、これよりもう少し高くなりますし、逆に5月、10月など快適な気温に恵まれる月では、空調代は安くなる傾向にあります。

これらが毎月のテナントの維持に係わってくる費用です。ですから、この医院の月額の維持費は24万円です。

つづいて、開業時に係る経費についてですが、内装代金は坪あたり50万円として1000万円、テナントの保証料金は200万円とします。

これに半年分の家賃120万円を開業時の運転資金の中に含むと開業時にこのテナントに必要な資金は医療機材などを除き、約1320万円が必要となります。

そして、20坪の面積のクリニックに配置できるユニットの台数は4台が上限でしょう。

20坪で4台も配管できるのかと疑った先生もおられると思いますが、私の診療所は17坪に4台設置していますから大丈夫です。

つづきまして、物件B です、B テナントの家賃は30万円ですから、年間家賃は360万円、このテナントの維持に係る電気代は月額6万円としておきます。月額維持費は36万円です。

開業時に係る経費について、内装代金は坪あたり45万円とします。

同じ内装会社で同程度のレベルの内装を行う場合は、内装を施工する面積が大きくなればそれに応じて若干1坪あたりの内装費用は安くなる傾向がありますから、内装代金は20坪だと50万円だったものが30坪になると45万円になったものとして計算しています。

そこで、B テナントの内装費は1350万円、これにテナントの保証料が300万円として、半年分の家賃180万円を加えると、開業時に必要なテナントの費用は1830万円となります。

ちなみに30坪の面積があれば、欲張れば6台まで配管することは可能です。

さらに物件C です。同様に家賃は40万円ですから、年間家賃は480万円、このテナントの電気代は8万円です。月額維持費は48万円です。

開業時に係る経費について内装代金は坪当たりさらに安くなって40万円とします。

ですから内装代金は1600万円です。テナント保証料が400万円として、半年分の家賃240万円を加え、開業時に必要な費用は2240万円となったとします。

配管は余裕を持って8台まで配管できますので、最大チェアー数は8台としておきます。

さて、この時点で、20坪の診療所を開設するのと、40坪のコンビニ跡地で開業するのでは自動的にテナントに係る費用だけで1000万円程度の差が生じることがわかります。

つまり、資金的に多くを工面できない事情がある場合には、いずれにせよ広いテナントを検討することは難しい上に、維持管理が大変だということがおわかりいただけたことと思います。

また、ある経営指南書に、家賃は医業収入の10%を超えると経営を圧迫するという内容が書かれてありました。

わたしも事実そう思うのですが、これらの仮想のテナントA、B、C は、その広さとは無関係に毎日20人の患者を診察するとして、前々回お話したとおり1人来院あたり5000円の医業収入があったとすると、

月額大凡220万円の医業収入に占めるテナント維持に係わる経費の割合は、A が11%、B が16.5%、C に至っては22%であることがわかります。

ですから、逆に、診療所の広さ、あるいはテナント維持にかかる経費から目標とする患者数をはじき出すこともできるわけです。

つまり、家賃が20万円の診療所であれば、1日20人以上の患者数を目標とすれば経営は安定しているわけです。30万円の診療所であれば30人以上と言った具合ですね。

こう考えると、ある程度の家賃、例えば60万円の家賃ともなれば、相当保険で患者を回すか、ある程度の自費治療を行う環境が整備されていないと、とてもではありませんが診療所を維持する家賃が経営を圧迫することになりますから、開業立地選定の上で、選択するテナントの広さ、家賃の目安にしていただけたらと思います。

補足ですが、待合や診療スペースが広いことはいいことだと考えている先生方がまれにおられますが、これはおそらく多分にその先生の主観や思い込みによるところが大いにあるとおもいます。

例えば、先生方で、今までに眼科、皮膚科、あるいは内科、まあ何科でも結構ですが、かかりつけの医科の開業医の先生はおられませんか?

あるいは過去にかかっていたことが人生一度くらいはあるかと思うのですが、その先生の診療所に通って、はたして待合室の広さや豪華さ、あるいは診療スペースの広さが気になったことがありますか?

狭すぎれば気になりますが、不必要に広いことで患者になにやら良い印象を与えると言うことはあまりないように思います。

いかがでしょうか?

開業資金の使用用途は主に運転資金、物件費用、内装設備、医療機材、広告宣伝費の5つがほとんどですから、手元の資料の、開業資金の使用用途というページを空けていただきまして、この2番に内装設備、3番に物件費用と記入してください。

このうち、先ほど述べた物件費用と内装設備費用を合わせたものが20坪では1300万円、40坪ならば2200万円とざっくりですがお話しましたので、もちろんこれは坪単価が10000円の物件での話ですが、

医療機材はいずれの広さで開業する場合でもチェアー2台、パノラマ、デンタルはデジタル、レセコンはリースとして、その他オートクレーブなどの小機器類を合わせると約1500万円となり、これに広告宣伝費50万円と当面の職員の給与などに備える運転資金を500万円確保した場合、

20坪で開業する場合、3350万円、これに対して40坪で開業する場合は4250万円が必要という試算になり、選択するテナント物件の広さによってかなり開業資金がことなるところに注目していただきたいと思います。

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