立地条件がどれほど大事なのか【Ⅲ:実際の開業事例に基づく成功する医院立地】8/8
さて、ここまで「どのような場所に歯科医院を作れば、患者さんは足を運んでくれるのでしょうか?」ということを模索してきましたが、実はこの質問にはおそらく誰も完全な答えを用意することはできないでしょう。
また、実際に用意できても、ここにきて最後に放り投げるような、あるいは突き放すようなことを言うようですが、開業医である以上、その先生の臨床力によるところもゼロではないはずです。
しかし、限りなく立地が臨床力に勝る、あるいは補ってあまりあるという実例を最後にお話しておきたいと思います。
私の非常によく知るS 先生が2006年3月に福岡にある私立の歯学部を卒業されました。
ちょうどS 先生の代から臨床研修制度が義務化されましたので、S 先生は京都府下にある某市民病院の歯科口腔外科にて臨床研修を終え、その後に無職となり、親のすねをかじりつつハローワークにて失業給付金をもらいながら次の就職先を探している、
いわば巷にあふれかえっているニートさながらの生活を送ったのち、結局、何を思ったか、北摂の閑静な住宅地で開業することを思い立ち、周囲が止めるのも聞かずに臨床経験たったの1年で晴れてご開業されました。
さて、このS 先生の医院は、今現在どうなってしまったのか?
なんとかおかげさまでS 先生の診療所は無事に今年も年を越せそうです。
おまけに、来年からは医療法人になり、新たな出発を迎えるということで、最近では、P 抜歯以外の普通抜歯も、なんとか勤務医の先生に頼ることなく、Extできるようになったと喜んでおられ、あれは難抜歯だったわーと口癖のように衛生士にもらしています。
・・・実話です・・・算定がはたして普抜で行われているのか、難抜で処理されているのかはここではお話できないのがとても残念です。
つまり、何を言いたいかと言うと、S 先生の診療所を例に考える場合、おそらく医院立地が患者集めに大いに影響したことは言うまでもないと思います。
もう一度言います、臨床経験は1年です。ブランク半年です。このS 先生の立地は、私がさきほど述べた8つのすべてをクリアーしています。
また、先ほど、開業前に空き巣に入られたY 先生は、大阪市内の東住吉区で今年の10月1日にご開業されましたが、この先生の物件に関しても、先ほど私が述べた成功に欠かせない8つの条件のすべてを満たしておられます。
Y 先生の承諾を事前に得ておりますので、少しばかりY 先生の実例についてもお話しますと、Y 先生は、近鉄沿線のI 駅から徒歩1分ほどの、スーパーのまん前にある、近鉄線の高架の下にあったコンビニ跡地を使って開業され、
なんと初日の新患数20人、開業初月の来院人数延べ500人を達成され、保険点数は初月で25万点ほどとのことです。
いまではスタッフがたりないとうれしい悲鳴を上げておられ、つい先日もY 先生から、勤務医でだれか紹介してもらえないかと相談を受けました。まだ開業して2カ月です。うらやましい話です。
これらの9つの条件をクリアーして、適切な広さの空間を確保できた物件が新規開業にあたりお勧め物件だということで、今回の新規開業セミナーを終了させていただきたいと思います。
なお、百聞は一見に如かずということで、S 先生の診療所を見学されたい先生がおられましたら、いつでも歓迎するとのことでので、ぜひ一度ご見学いただけたらと思います。
見学希望の先生がおられましたら後ほど、直接S 先生にお問い合わせください。もうネタばれしていると思いますが、S 先生とは私のことです。
ご清聴ありがとうございました。
なお、本日は、新規開業セミナーの最後の講演になりますので、いままでの回でお話した内容も含めまして、なにか質問などございましたら、どうぞご遠慮なく。
また、この場で聞きにくいことなどもあるかと思いますので、後ほど懇親会にて御声をおかけいただければと思います。
ありがとうございました。