歯科衛生士になって大変だった患者様との信頼関係を築くまでの過程

院長が新人に与えた仕事は想像以上に過酷な問題だった!

就職した先は、院長と研修医が2名、衛生士が4名、歯科助手が3名の一般的な歯科医院でした。院長は後継者を育成する傍ら、学会や大学での教鞭もふるっている程多忙でありながら、新卒である私の教育も怠りませんでした。言い換えれば、とても厳しく過酷な職場でした。就職して半年が過ぎた頃、私に新規の女性患者が回ってきました。神経質そうな青白い顔の患者様は40代後半の高校教師で、私にとって初めての重症例でした。

どの歯科医院を訪れても思うように快復せず、歯科医院自体に不信感を抱いたまま来院されました。まずは歯周病検査を一通り行い、あらゆる情報を集めました。いざモチベーションの時を迎えると明らかに私を信頼しておらず、不信感で顔が歪んでいる患者様の姿が目の前にありました。一度席を立ち、緊張で深呼吸を繰り返す私に院長は、治すと言う意気込みで取り組めば問題は自ずと見えてくると言いました。

患者様と真摯に向き合い、私自身が患者側の感じる不快感や問題点を把握している事を、まずは知ってもらおうと考えました。口腔内を診た率直な意見、どのような治療方針を立てて歯周治療にあたるか、デンタルと精査の結果を照らし合わせながら、1時間かけてモチベーションを行いました。説明後、一礼して部屋を出た患者様は真っ先に院長の元へと行き、自分の現状を確認し始めたのでした。

毅然とした態度で回答、親しみある笑顔で質問、二つの使い分け

患者が院長の言葉にしか耳を傾けないケースは多々あります。しかし院長は、私を信頼してくれていました。担当である私の説明がすべてで間違いはないと、患者様にはっきりと伝えていました。この言葉を耳にした瞬間、使命感が私の心を動かしました。新卒であろうがなかろうが、衛生士の資格を与えられた私にしか出来ない仕事を、患者様のために精一杯やるだけなのです。

その日から、技術はもちろんのこと、患者様の心理的な面や生活習慣の問題など、情報収集にも努めました。これは特定した患者にだけ言える事ではなく、今後すべての患者に向けて取り組むべきだと言う事に気付かされました。言葉をうまく使い会話を引き出すことは、二十歳そこそこの私には想像以上に過酷な試練でしたが、いつでも堂々と回答し、時に優しく微笑みながら患者へ質問する、寄り添った姿勢の指導を心がけました。

状況が変化したのは、SRPの3回目を過ぎた辺りからだったでしょうか。患者様の方から私に質問してくるようになりました。歯磨き中に出血がなくなった事、唾液の質が変わってきた事、歯がしみてきた等、良いことも悪いことも積極的に話してくれるようになりました。勉強不足で即答できない時は、次回までの宿題とし、正直に患者と向き合いました。患者側も、少しずつ快方に向かう歯周疾患を実感することで、心を開き始めていました。

人対人だからこそ面白く、大変なほどやり甲斐のある職業

一通りのSRPを終え、見違えるほどの快復をみせた時、ほんの少しだけ患者様との距離が縮まったように感じました。信頼関係とは、築くのは至難の業ですが壊すのは一瞬です。ちょっとした気の緩みが、今まで積み上げてきた事を台無しにしてしまう恐ろしさを知っています。人を相手にしている職業は、残念ながら相性もあるでしょう。今だから笑い話になりますが正直、私はこの患者様との相性は最悪でした。それも接し方で解決します。

医療現場も、一種のサービス業の様な一面もあります。患者の気分を害さないような指導、痛みを最小限に抑えて丁寧な治療を心がける、不快を早く取り除く、色々な場面で神経を使う職場です。だからこそのやり甲斐だと思えば、これほど充実した職業に就ける喜びはありません。仕事が大変だと感じるバロメーターは個々に違って当然ですが、どれも専門知識が必要で、学生時代の勉強も難しくつまらない物と感じる事もあるでしょう。

衛生士は、人に見られたくない口腔内を診ていく訳ですから、患者とのコミュニケーションは重要です。新人である私に院長が与えた難症例は、衛生士としての私を大きく成長させる時間であり、信じて任せてくれた院長に感謝の気持ちで一杯でした。歯の専門家として、大変な症例にも果敢に挑み、スキルアップを目指して欲しいと思います。また、そう言った症例を任せてくれる歯科医のもとで働く事をおすすめします。

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