この先10年の勤務医・開業医のキャリア構築と、人事労務管理の基礎知識(6/6)

知らないと怖い労働法規の落とし穴

第4に、そうするとですね。いざ自分が人を使う立場になったときに、どういうところに気をつけないといけないのか。ちょっとだけお話をしときたいと思うんですけども。

例えば、勤務医の方は自分が雇うことはないのかもしれません。でも、自分が雇われてる立場なんで労働法の知識がまったく無関係というわけではないんですね。自分が事業主になって歯科医師さんだけじゃなくて、衛生士さんですとかは事務の方を雇ったり、することも当然必要だと思いますし。或いは委任を受けて分院長として仕切るだとか、法人の理事になる時もある程度経営の方に気を配らないといけないので、やっぱり皆さん法律の問題から全く逃れることはできないはずなんです。

いざいざ独立する時にどういったことに気をつけないといけないのかなと、自分が人を雇う側、直接雇うんじゃなかったしても雇う側の立場になったら何を気をつけないといけないのかなっていうのはちょっとお話をしたいですね。で、これは開業前といいますか雇い入れる前に準備しておくべき事と、雇った後に気をつけないといけない事というふうに大きく分けられると思うんです。

開業前、雇い入れる前に気をつけないといけないのは契約の内用そのものですね。当然ですけども、委任契約の時は委任の内用ていう話なんで置いときますけども、労働契約を結んで雇入れるとなってくるとですね。自分の思ってる。医院の運営スタイル、経営スタイルでこういう雇い方をしたいと思ったとしてもそれは労働法違反だったら当然、無効になるんですね。

両者合意してても、法律の方が優先される事項ってのがあります。例えば労働の時間ありますとかね。休日の考え方ってのは、いくら本人が休日は全く要らないです、とか残業代を放棄しますと言ったところでそれはできないんです。そうするとですね、どういった内容の労働契約にしておくのかとか、休日の構築の仕方をするのかっていうのを事前によく練りこんですね。就業規則に落とし込むだとか、労働契約に落とし込むとかしておかないと。

これは、開業後の注意にも関わってくるんですけども、ちょっと都合が悪くなったので一方的に変える事が出来ないんですね。世の中で社長の一声で、全部働き方を変えるだとかいう様な方もたまに見受けられますけども、労働者がそれを合意しなかったら、いくら社長、分院長、理事長が旗を振っても、一方的には変えられないんですよ。

やってしまった後に、やっぱりこれは良くなかったと思っても、遅かったりする場合があるので、自分の院、自分が理想とする。院の理想の働き方ってどうかな?と、先に考えて。それが法律上どう実現できるのかなというふうにして考えていかないと、後からちょっと怖くなったりします。いざ雇ってしまった後はどうなるかっていうと。今も触れましたけども、労働条件の一方的に変更したりするのはできませんし。後、この人そりが合わないなとか、この人自分の思ってた能力を発揮してくれ無かったなと思ても解雇というのは非常に厳しいですね。

皆さんの場合その資格を持っていらっしゃる方なんで嫌な思いをしながら働き続けようって方も少なくて。出て行けと言われたら、「出て行ってやるわ」と言う流れがもしかしたら多いのかもしれませんけども、いくら歯科医師の方であっても労働者として一度雇入れたら簡単にはクビにしてないんで、雇うってのは非常にリスクが高いことでもあるんですね。その変わり自分の指揮命令に従って自分の思い通りにある程度働いてもらうことができるんですが、自分の手足になってもらう反面そういった労働法の強い規制がありますので、雇う側・働いてもらう側からしたらある程度リスクが発生してきます。

あとですね。その労働条件勝手に変えれませんよってとこもそうですし、勝手にやめてもらうのもできませんよ。っていうのもそうなんですけども、法律の規制だけじゃなくてですね。やっぱ人を雇入れるってことは、自分の組織に違った考え方の方ですとか、今までと違う経験した方を迎え入れることなんで、今現在既にいるスタッフですとか、法律では無いんですけどね。人的なの関係の意味でも、良い意味でも悪い意味でも軋轢ですとか何かのショックが生じることがあるので、その辺十分に考えながらやっとっていってこれは将来自分の院をですね、どういうふうにしたりしていきたいかっていうデザインを描いて、足りないパズルのピースをはめていくという考え方で人を雇っていかないと。

とにかく足りひんから雇おうとなってしまうと、さっきの規制の話なんですが、ピース合わないな辞めてもらおうとか、条件一方的に下げたろう。これなかなか難しくなっちゃいますので、雇う前に慎重にしないといけませんし、いざ雇ってしまったら自分の都合に思う通りにいかないから、やめてもらおう契約内容を変えてもらおう。これはほぼほぼ通用しないんですよ。

というのは、ちょっと事前に覚えておいていただきたいですね。で、具体的などの制度にしたらいいのかっていうのちょっと今日の時間ではなかなか時間が足りないですので。この後の、座談会なんかでもしそういった話が出てくるんだったらちょっと触れたいですけれども、事前によくよく専門家に相談された方が良いのじゃないかなと。

歯が痛くなったら皆さんに、余り大したことない内に診てもらった方が良いのと一緒でですね。専門家にその辺は事前に相談して労働関係の内容ですとか。あるいは、自分が委任契約をする側でも、受ける側であっても、その契約の内用をチェックしておいた方が良いのじゃないかなというふうに思っております。

ザット話しましたけども、まとめて言いますとですね。おさらいなんですが、歯科業界の変化ていうのは今後、先行きがどうなるかわかりません。単なる人数が増えて過当競争に陥るという方向じゃなくてですね。中身はどうなっていくかわからん。そういった意味での混乱期に入ってくるんじゃないいかなと思ってます。

その中で、せっかく取られた国家資格ですから、どう生かしていくかっていうのは、働くというのは結局生きていきかたの話やと思うので、どういった人生を歩んで行きたいのか。リスクが大きくても得るものが大きいかもしれない人生選ぶのか。比較的安定した人生選ぶのか、これはどっちがいいとか悪いとかじゃなくてですね。皆さんの価値観にしたがって決まってくるものと思うんです。

自分が歩もうとしている。行き先・道筋というものをはっきり意識された上でゴールに向かうために自分は今こういうキャリアを選ぶんだという信念とかですね。自分のしっかりした考えを持って、これから働き方っていうの決定していただきたいなというのが私のお話になります。

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