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ブランクを怖がらないで!歯科衛生士の復職セミナーが不安を和らげる
自分だけじゃない!ブランクのある歯科衛生士に明るい未来を
長年お世話になった歯科医院を寿退社以外の理由で辞めたのは、後にも先にも私しかいません。それほど、歯科衛生士である私たちには居心地のよい職場でした。私が退職した理由も、院長の後押しがあっての事でしたから当然、円満退社だったわけです。海外生活を終え、帰国と同時に院長から再就職の依頼を受けた時には3年以上のブランクがありました。この時の率直な気持ちは、以前の様に働く自信がなく断りたいとの思いでした。
ある程度キャリアを積んだ経験のある歯科衛生士にとってブランク後の再就職は、時に変なプライドが転職の邪魔をする事もあります。バリバリ働いていた頃の自分を思い出しては、同じように体が動かないであろう事実を知る恐怖と、技術の低下を悟られたくない気持ち、その反面、自分なら出来ると言う根拠のない自信の狭間で揺れ動いていました。悩んでいる暇があったら「セミナーへ行ってこい」と院長の一言が復職の第一歩でした。
長期ブランクのある歯科衛生士を対象にした復職セミナーへの参加を決めた事で気付いたのは、例えブランクがあっても、身につけた技術はそう簡単には失われないと言う事実でした。数時間の実習で、あの頃の感覚が少しずつ蘇って来るのが実感できました。やはり、基礎は大切だと思い知らされました。現役時代、歯科衛生士に必要な技術を厳しく指導されたなら、ブランクを恐れる心配はないと断言できます。
そびえ立つブランクの壁!越えるパワーは志望動機に隠されていた
セミナーを受けて再確認した事がもう一つあります。それは、SRPにしてもシャープニングにしても、段階で正しいポジショニングを体に叩き込む事が重要だと言う点でした。復職後、院長から最初に与えられた仕事は、新卒衛生士の技術向上を目指した、数件の医院でインストラクターとして働く事でした。感覚を取り戻したとは言え私には荷が重い仕事でしたが、セミナーでの気付きがあったからこそ任された新人教育と言う役目でした。
最初に出会った歯科衛生士は、卒後1年未満で退職に追い込まれた経験を持つ女性でした。よくありがちな、院長との人間関係が原因で転職したケースでした。衛生士の仕事は好きでしたが、この経験がトラウマの様に彼女を苦しめ、違う職種を転々と渡り歩いていたそうです。しかし、苦労して取得した衛生士の資格を活かせていない事を悔やみ、6年以上ものブランクを埋めるために再就職を決意したとの事でした。
実務経験が乏しく、ほかの新卒者と同等か、それ以下のレベルだったと思います。しかし一つだけ秀でていたものは、誰よりも高い志しを持っていた事でした。理想とする歯科衛生士を目指したいと言う強い意志の表れだったのでしょう。何となく資格を得て就職し、言われるがまま仕事をしている衛生士とは明らかに知識の吸収が違いました。彼女の意識が、ブランクと言う大きな壁をぶち破る力になったのだと感じました。
ブランクを埋める力が歯科衛生士としての更なる成長に繋がる
彼女の直向きな姿勢に、私も心を動かされました。そして、影響を受けたのは私だけではありませんでした。やる気の感じられなかった新人衛生士たちも、こぞって勉強を始めました。こうなると、人はどんどん知識を吸収し成長を遂げます。そして仕事が面白くなり、充実した毎日を送れるようになります。すると心に余裕が生まれて人に優しくなれますから、人間関係に悩む事なく居心地の良い職場になるでしょう。
私には幸い、ブランクがあろうとも歯科衛生士として培ったスキルを信じてくれる歯科医や、バックアップしてくれる衛生士の存在があって、自信を失わずに今までやってくる事が出来ました。残念ながら職場や同僚に恵まれなかった人や、変なプライドを捨てきれない衛生士は、再就職を恐れてブランクを克服できないケースが意外と多い事に気付かされます。
出来ない事を恥じる必要はありませんし、自分の心がけ次第で誰にでも学ぶチャンスは訪れるはずです。復職セミナーで実習を受ける事や勉強会に参加する事で、その不安を和らげる大きなきっかけになるでしょう。私も二度の離職を経験し、その度に再就職への不安でいっぱいになりましたが、ブランクを埋めようとするパワーは想像以上に大きいものです。この力が、また一つ衛生士としての成長へと繋がっていくと実感しています。