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歯科衛生士の仕事は手取りだけで職場を決めると失敗する可能性も?
歯科衛生士の気になる手取りはピンからキリまで。平均はいくら?
医療に携わる有資格者の中でも、残念ながら歯科衛生士の月給はランキングでも低い職業と言えます。この悲しい現実が、衛生士の離職に繋がる理由の一つである事は言うまでもありません。その気になる初任給は20万前後と言われ、バブル期とそれほど変わらない印象を受けましたが、いつの時代も職場によって差はあります。またどんな職種でも給料は能力別に差が出て当然ですし、そうでなければならず、職場によって待遇も異なります。
ただ大きければ待遇がいいとは限らず、経営母体が安定しているかが重要です。歯科の場合、経営者である歯科医が、衛生士をどの程度重要視しているかで左右されると思います。例えキャリアを積んでも、どうせ3~4年もすれば退職するだろうと見越して昇給もそれほどせず、仕事の割に低い賃金で雇う歯科医も珍しくありません。このような考えでは、働く側の志しも低いまま退職を迎えると言う悪循環を生んでしまうケースもあります。
私自身、新卒で最初に採用された歯科医院の初任給は手取り19万ほどでした。当時、大学の初任給を上回り、手取りが15万という職場が多い中、一際高い月給を提示していました。歯科医院としては規模も大きく福利厚生は充実していましたが、大切な仕事内容や人間関係に問題があり、初任給を待たずに退職を決めた過去があります。
給与だけで職場を決めるのは危険!大切なものが他にもあった
月給がいいのは魅力的でしたが、助手との区別が不明瞭で衛生士の資格をフルに活かせる職場ではない点には、どうしても納得がいきませんでした。その上、尊敬できる歯科医や衛生士がおらず、人間関係に悩みながら仕事を続ける馬鹿らしさはないと感じました。そこで初任給は2万ほど下がりましたが、思い切って転職を決めました。
一般的な規模の歯科医院でこれと言った福利厚生はありませんでしたが、何より従業員に対する思い入れが強い院長を中心とした歯科医院でしたから当然、従業員同士の人間関係も良好で、先輩が後輩を育てると言うことが当たり前のようになっていました。また、受付や一切の電話対応など資格がなくても出来る仕事はすべて、歯科助手が担当していました。この事から衛生士は、業務に集中して技術の向上に努めることが出来ました。
年に数回ある学会や院内旅行、食事会などの費用はすべて医院から支給されていました。さらに毎年、1万5千円から多い年度で1万8千円もの昇給がありました。これは、衛生士としての技量をしっかり評価された表れで、仕事へのモチベーションも上がっていきました。結果、初任給が良かった最初の歯科医院より、技術も良い月給も早く手にすることが出来たのでした。
衛生士として資格に見合った給与を貰うために
歯科医によっては衛生士と助手は同等と考え、資格がなくても出来るような仕事を衛生士にさせるなど、習得した技術を活かせない職場は少なくありません。もちろん衛生士も、受付や電話対応、雑用など仕事を円滑にする為には必要な業務です。しかし私たちの本心は、もう少し衛生士という職業を尊重して欲しいと思うのです。私もその経験者の一人として、衛生士業務が思う存分でき、見合った月給が支給される職場に転職しました。
このような言い方が正しいかは分かりませんが、国家資格があるとつぶしが効くのは確かです。仕事や待遇、人間関係に問題がある職場なら続ける意味はなく、早い段階で転職するべきだと思います。必死に勉強し資格を得たのですから、出来れば一生働けるような職場や仲間と出会いたいものです。私も転職し、尊敬できる歯科医や衛生士の仲間と出会いました。現在は育児の為に臨床から離れていますが、交流が途絶える事はありません。
歯科衛生士は、国の法律に基づいて能力が認められた国家資格なのだから、自信を持って仕事をするべきだし、もっと立場を認められるべきだと私たちに良く院長が口にしていた言葉です。キャリアに見合ったお給料を頂くべく、スキルアップを目指して日々努力することが大切で、それを正しく評価してくれる歯科医のもとで働くことが理想ではないでしょうか。