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歯科衛生士になるために必要な国家試験、その気になる難易度は?
合格率の高い衛生士の国家試験、100%合格を維持する母校
歯科衛生士として働く為には当然、国家試験に合格しなければなりません。試験と言えば気になるのがその合格率ですが、例年90%を上回っています。この数値を見る限り、試験は簡単?と思われがちですが、決してそう言う意味ではありません。難易度で言えば「低い」と言わざるを得ませんが、3年間、専門知識を学び、実習で得た技術があっての合格率です。真面目に通学して、勉学に励んだ学生だからこその高い数値なのです。
私の母校は開校以来、100%の合格率を誇っていました。時代はまだ2年制の修業年限で、1日24時間では足りない程の授業量でした。100%を保つため、カリキュラムには国試対策の授業が多く組み込まれており、頻繁に行われる模試の結果が教室の壁に貼り出される度に落ち込んだものです。放課後も時間が許す限り自習しないと不安でしたし、バイト先の歯科医院でも、有り難い事に院長や衛生士から試験対策を指導してもらっていました。
このお陰で私は常に合格圏内の成績ではありましたが、油断は出来ない状態でした。そんな中、仲の良かったクラスメイトが最下位を記録しました。まだ一度も合格圏内に入った事がなかった友人はある日、教務部に呼び出されました。教室に戻ってきた友人の目は赤く腫れ上がり、不安な面持ちで席に着きました。それは留年と言う現実でした。合格が危ぶまれた生徒を卒業させる訳にはいかないと言うのが学校の方針でした。
「インプット」と「アウトプット」で国家試験も怖くない!
国家試験が目前に迫ると、留年した先輩が国試対策の授業に参加することがありました。そこで現実を知る事となり、私たちは勿論のこと、友人も戦々恐々としていました。私は決して頭の良い方ではありませんでしたが、ただ振り返ってみると、ターニングポイントで影響力のある人物との出会いに恵まれ、救われた様に思います。国試の時期でもそうでした。サポートしてくれる教師やバイト先のスタッフ、クラスメイトに助けられました。
私を含めたクラスメイトの約半数は歯科医院でバイトをしながら通学していましたので、お互い先輩衛生士に出題してもらう事が日常茶飯事になりました。基礎を理解し、インプットされた知識を臨床実習やバイト先で実践し、アウトプットする事が重要で、これが結果に繋がるのです。私たちの学生時代はアナログで、自分の手で情報を集めては記録し、コピーした手書きのノートを仲間と共有しながら国家試験に向けて勉強していました。
実習先に指定された歯科医院で働いた経験がありますが、時代は進化したとは言え、今も昔も変わらぬ暗記カードやノートに写して覚えている姿が懐かしく思えました。見ていると、アウトプットの多い学生の方が合格に最も近かった様に感じました。今となっては楽しい青春の思い出ですが、当時の私たちにとっては過酷な日々でした。あの頃の自分たちに伝えたい…真面目に講義を受けて、休まず臨床実習に臨めば必ず合格するという事を。
国家試験の本番は3月!意外と見落としがちな体調管理も万全に
学校で行われていた模試は、学生に対する教員の愛情そのものでした。最初から難易度の高い問題を数多く熟す事で、学生たちは知らずに力をつけていた事になりました。最下位のレッテルを貼られた友人も、私たちと一緒に受験する事となりました。恩師からは「試験の前日は勉強せずに睡眠をしっかり取ること」と言われていましたが、私は性格上、ギリギリまでやらなければ安心できないタイプで、最後の悪足掻きをしていました。
試験日は天候に恵まれたものの、突風吹き荒れる寒さ厳しい朝でした。当日、クラスメイト数人と途中駅で待ち合わせをしていましたが、友人がひとり現れませんでした。仕方なく先を急ぎ、開始直前に真っ赤な頬の友人が現れてホッと胸を撫で下ろした事を今でも鮮明に思い出します。無事に試験が終わり、みなで友人の側へ駆け寄ると「来ちゃダメ!」と小声で言う友人…実は、インフルエンザに罹っていたのでした。
友人のように、インフルエンザを隠してまで受験したくなる気持ちは分かりますが、終わってから教師に酷く叱られた事は言うまでもありません。年に1度しかない国家試験を、体調不良を理由に欠席するなど言語道断です。試験日に体調を合わせる事も、試験科目のひとつであると考えなければなりません。体調管理が出来てこそ、真の医療従事者と言えるでしょう。