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患者を大切に思うなら歯科衛生士も積極的に勉強会へ参加しよう!

絶句!勉強会に興味のない歯科衛生士が医局で読んでいたものとは
過去に、4件の歯科医院で歯科衛生士のインストラクターを任されていた経験があります。名目は衛生士の技術の向上を目指すものでしたが、その中には歯科医や歯科衛生士の診療に対する姿勢をチェックする役割も任されていました。なんとも、スパイのような任務でした。3件の歯科医院では、衛生士のスキルアップを真剣に望んでいる歯科医でしたから、私が来院する日は衛生士がテーマに添った勉強会を積極的に開いてくれました。
問題の1件は、やる気のない院長と衛生士、そして正義感の強い歯科助手が働く異色の歯科医院でした。歯科助手は夜間の衛生士学校に通い、勉強の為にこの歯科で働いていました。なんだか自分の学生時代と重なる部分があり、彼女を失望させないためにも、この歯科医院を改善させようと言う使命感で燃えていました。しかし、私を疎ましく思う院長と歯科衛生士は、私が来院する日は重症例の患者を入れない徹底ぶりでした。
患者がいない時間帯になると医局で雑誌を読み、雑務を歯科助手に押しつけていると連絡を受けました。最初はにわかに信じがたい話でしたが、私が出勤する日は、歯学書で漫画を隠して読む院長と、歯科衛生士の本を広げた下で携帯をいじる衛生士の姿がありました。真実を目の当たりにして愕然としました。ばれているとも知らずに、真剣な眼差しで携帯や漫画を読む様な歯科医院で、誰が自分の大事な歯を診てもらおうと思うでしょうか。
院内でテーマを決めたら勉強会を開こう!そして成果を実感しよう
院長のやる気を促す事は歯科衛生士である私には不可能だと感じましたが、同じ衛生士なら仕事のやり甲斐を教えてあげられるかもしれない…そう希望を持って衛生士のインストラクターを努めました。何をするにしても面倒臭そうで、何故この処置を患者に行うのかを理解せず、ただ言われたからやると言う様な態度に見られました。これでは上達はあり得ませんし、やり甲斐も楽しさも知らずに終わってしまうでしょう。
まずは週に一つ、テーマを決めてもらいました。彼女は最初に、TBIの上手なやり方を提案しました。私が出勤する1週間後に、自分が行ったTBIについて何でも良いので発表するよう伝えました。1週間で担当した数人分の記録をもとに、上手くいったケースと失敗したケースの比較をして、反省点を発表してくれました。自分の言葉で話す事によって問題が浮き彫りになり、改善点を自ら見つけた様子でした。
次に、気になる歯周疾患のSRPの仕方をテーマに選びました。これがきっかけとなり、次から次へと、衛生士業務に対する疑問や質問が湧いてくる様でした。時には、SRPが上手くいかないのはシャープニングが正確に出来ていないからだと気付き、またある時には、SRPで異常に手指が疲れるのは何故かなど、自ら問題を解決しようとする姿が見られるようになりました。勉強会を開くことで、自分の仕事の成果を知るきっかけになるのです。
勉強会で発表の場を与えられた歯科衛生士は恵まれている
衛生士学校で勉強した事は基礎であって、実際は臨床に出てから多くの事を学び、資格を取得して初めてスタートラインに立つわけです。当たり前の事ですが、完全に歯科衛生士と言う仕事を見失っている人もいます。上に立つ院長が学ぶ事を止めてしまっては、歯科衛生士も同様にスキルアップの機会を失ってしまいます。これでは、よりよい治療は望めませんし、仕事にやり甲斐を持つ事もないでしょう。
歯科衛生士の中には、大きな学会で発表の場を与えられる人もいます。これは、とても恵まれた事だと思います。私も実際、衛生士になって6年目だったでしょうか、学会で症例発表をさせて頂く機会がありました。これが決まってからの日々は、毎日が勉強でした。正確な検査と記録、資料作成に演説のリハーサル…頭の中は学会の事でいっぱいでしたが、心地よいプレッシャーの中で充実した数ヵ月を送っていました。
この発表があったからこそ衛生士としての自信に繋がり、大きく成長するきっかけとなりました。これは誰にでも経験出来る事ではないかもしれませんが、勉強熱心な歯科医の下で働ければ、いつかチャンスは訪れるでしょう。学会に拘る必要はありません。やる気がなかった衛生士は、そう見えただけで、実際はどう勉強して良いのか分からなかっただけかもしれません。院内で勉強会を開き、スキルアップのチャンスを活かしましょう。