どこまでイエスといえばいいのか。歯科衛生士の業務範囲を考え就職。

歯科衛生士の業務範囲を超える仕事内容

私自身は、ありがたいことに歯科衛生士の業務範囲を超えるお仕事をさせられた経験はありません。しかし、周りには歯科衛生士がここまでしても良いのだろうかと思う話はよく聞きます。私がまだ学生時代、歯科衛生士は歯科医師の言うことに逆らってはいけないと教えられてきました。大げさな話、歯科医師が黒いカラスを指さし、あのカラスは白いカラスだといえば、その通りです。と答えなさいと教えられてきました。

また、臨床に出れば学校では習わなかったやり方で歯科衛生士が仕事をしている可能性もあるが、それは就職した以上、そこの歯科医師のやり方に全て従いなさいともいわれていました。学生だった私は、歯科衛生士法を習ううちに、ではなんのための歯科衛生士法なんだと疑問に思うようになりました。確かに、歯科医師の指示の下、歯科衛生士は仕事をしなければいけませんが、だからといって業務範囲を超える仕事を容認しなさいとは、どこにも書いてはいません。

私は学生の中でも、ずいぶんへそ曲がりな存在で、指導をしてくださる先生方の手を煩わせた存在だったと思いますが、素直になんでも指示に対しイエスと答えるのが正しいと思う、そんな歯科衛生士になりたくはありませんでした。そのため、就職探しを始めた時は、周りの話をふまえ歯科衛生士の業務範囲を守っている歯科医院への就職を強く希望しました。

歯科衛生士の仕事が、しっかりと守られている歯科医院

私が就職した歯科医院は、歯科衛生士の仕事がきっちりと守られていました。面接に伺った時に、そこの歯科医院の院長が「当院では、歯科衛生士は歯科衛生士として最大限の仕事をして貰いたい。それ以上の仕事はありません。」と話されていたのが強く印象に残りました。採用を言い渡されたときに、何も迷うことなく、お願いしますと答えられました。

しかし、郷に入れば郷に従えという言葉があるため、就職後に業務範囲を超える仕事を言われた場合には、我慢しやるしかないと心には決めていました。就職後は、歯科衛生士の業務範囲を超える仕事内容を言われることは一切なく、ただただ歯科衛生士としてのスキルを磨かせてくれることに力を注いで頂き、とてもありがたいと思っています。

ただ一つだけ残念だったなと思うことが、私が就職した歯科医院には、とてもベテランの歯科助手がいました。そこの歯科医院では、歯科助手に歯科衛生士の仕事をさせることはまずありませんでしたが、彼女は他院で歯科衛生士と同等に近い仕事をしていた経験があるらしく、きっとそのことに誇りも自身もあったのだと思います。そこに、新卒で資格があるだけで技術が全くない私は、きっと資格の持ち腐れに彼女には見えたのでしょう。

彼女が仕事を辞めるまでの数年間、かなり精神的に鍛えられました。何度も何度も、辞めてやろうと思うこともあれば、ストレスで食事ができないほど口の中に何十個という口内炎も出来ました。今となっては笑い話ですが、歯科衛生士の業務範囲を守っている歯科医院ばかりを気にし、面接で院長以外のスタッフの人間性を見極められなかったことが残念に思います。

他の衛生士様は、面接で遠慮せず聞けるだけ聞いて良いと思います。

大きな大学病院の中に入っている歯科は、きっちりとしているため、歯科衛生士の業務範囲を超える仕事を任されることはまずないと思います。それを歯科衛生士に割り振らなければいけないほど、人手が足りないわけではないからです。研修医もいますし、もちろん指導医もいます。歯科衛生士以上に歯科医師が多い大学病院もあるからです。

気を付けなければいけないのが、小さな個人医院です。小さければそれだけ人件費も削らなければならず、何人も歯科衛生士を抱えながら仕事をすることは難しくなります。そのため、最小限で最大限の仕事をしたいと考えるのが当たり前のことです。しかし個人医院の良いところは大学病院とは違い、アットホームで温かい面や患者様と親しくなれるなど、個人病院でしかできないこともたくさんあります。

面接のときに、受からなかったらどうしようと気落ちばかりし、就職してみたらこんなはずではなかったと辞めては履歴書に傷がつくだけです。私もこの度新しい個人病院への就職が決まりましたが、とことん聞き、歯科助手が歯科衛生士の仕事をすることはあるんですか?歯科衛生士が切削器具を持つことはあるんですか?と細かく聞きました。それで落ちるような歯科医院なら、歯科衛生士の業務範囲を超える仕事をさせている可能性もあると思い、あきらめもつくからです。

しっかりとした歯科医院であれば、はっきりと丁寧に説明をしてくださります。怖がらずに、どんどん聞く勇気が大切です。

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