開業立地選定の前に決めるべき、「ドメイン」【I:歯科時流と開業立地選定5/5】

新しいこれから成長する町で開業した場合、今後とも、分析を間違った若い先生が新規に開業するリスクが常にあり、なかなか枕を高くして寝られないどころか、10年、20年先まで歯科医療へのニーズが伸びてこない可能性もかなりあります。そして、歯科へのニーズが伸びてくる10年後、20年後には、先生はおいくつになっておられるのでしょうか。ですから、かなり立地、テナント料金、周囲の競合の状態などの条件が整っていないと、まさに開発中のニュータウンに飛び込んでいくのはリスクがあると言えます。

ただし、例外もあります。たとえば、先生が小児歯科を専門に開業したい、あるいは矯正歯科オンリーで開業したいと言った場合、あるいは審美歯科をメインにしたい場合などです。この場合は今言ったようなオールドニュータウンで開業したら大変ですよね。

ちなみに私のクリニックではまだホワイトニング症例は去年1年間で3例程度しかありませんでした。おまけに、はじめてホワイトニングを私の医院で行った患者さんは60代半ばの患者さんで、残存歯も数える程度しかなかったのですが、当初自費でデンチャーを作っていたところ、残存歯が黄色いから気になる、こんな歯ではお姉ちゃんとチューもできないとのことで、残存歯のホワイトニングを希望されたのです。ご本人いわく、チョイ悪を目指しているとのことでしたが、なにもコメントしませんでした。つまり、私が言いたいのは地域の住民の年齢層によって歯科へのニーズがかなり異なるということです。

ですから、新たに開業する場合、最初にすることは、開業立地を決めることだとお話しましたが、その開業立地を選ぶということは、ドメインを決めるということと同じであると断言できます。ドメインとは、よく経営学用語で出てくる言葉ですが、英語では、単に領域、領地、範囲といった意味ですが、企業などの組織が事業展開する際の事業領域などを言うわけです。このドメインという言葉は今日の2つ目のキーワードですので、資料の方に、その定義を「起業などの組織が事業展開する際の事業領域」と書いておいてください。つまり、ドメインが決まらないうちは、開業立地を決めてなはならいということです。ドメインを決めるということは、「戦う場所を決める」だけでなく、「戦わない場所を決める」を明らかにするということでもあります。このドメインの決め方、あるいは開業立地を選ぶ前にするべきことについては次回のセミナーでお話したいと思います。

本日はここまでお話を聞いていただき、冒頭で先生方にご記入いただきました歯科開業における常識のうち何項目かでも覆すことができましたでしょうか、あるいは開業にむけて勇気と自信を持っていただけたら、お話させていただいた甲斐があったというものですが、いかがだったでしょうか。

また個人的な旅行の話や、私の経営するひかり歯科クリニックについての質問や見学など、ご希望ございましたらご遠慮なくおっしゃってください。後ほどご用意しております懇親会でも話しかけていただけたらと思います。

ご清聴ありがとうございました。

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