テナント経営か土地購入、どちらが開業に向いているか【Ⅲ:実際の開業事例に基づく成功する医院立地】2/8
さて、考えていただけましたでしょうか?
これを決めるのはおそらく資金計画と密接に関係してくると思うのですが、最近の傾向では、テナント開業の事例が多いように思います。
私もテナント開業した一人ですが、このテナント開業は自分で土地を購入して医院を建てる開業に比較して、開業時の投資金額が少なくて済むことは言うまでもありませんが、実際にお得な選択かと言うと一概にそうとは限りません。
さて、例えば私の医院で言いますと、診療所だけのテナント料金は1ヶ月当たり17万円程度ですが、これを安いと感じた先生方はどれほどいらっしゃるでしょうか。
たしかに金額で見るとそれほど高くないように感じますが、毎月17万円ということは、現在の住宅ローンの金利が極めて低金利であることを考えても、35年でローンを組めば6000万円以上の家が買えてしまう程度の出費ということになります。
ちなみに6000万円で大阪市内の一般的なマンションを購入する場合は、100㎡くらいの大きなマンションが買えてしまうわけです。
ですから、自己資金に多少余裕のある先生が郊外で開業を検討される場合は、案外、土地から購入して医院を建てることの方が長い目で見れば良いということもあり得ます。
テナント料金は何年間払い続けても、そのテナントが自分のものになることはありませんが、土地から購入して医院を建てた場合、歯科医院をやめてしまったとしても、土地は先生のものになるのですから、資産が手元に残ることになります。
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あるいは、先生が医院を法人化される場合は、先生の所有する土地、建物を医療法人に貸し付けて、家賃収入を得ることもできるのです。
しかし、現在、銀行はおろか、国民金融公庫ですら貸付を渋る歯科産業で、自己資金が少ないにも関わらず開業を決意した以上、テナント開業という選択肢しかないわけですから、このテナント開業を行うに当たって、何坪くらいの広さがあれば歯科医院を作ることができるのでしょうか。
また、広い方がゆとりもあって患者さんに喜んでもらえるのでしょうか。少し考えていただきたいと思います。
ちなみに、ご存じとは思いますが1坪とは3.3平方メートルのことですから、10坪とは大凡10帖+キッチン+お風呂・トイレくらいのワンルームマンションの面積に該当すると考えてください。
さて、どれくらいの広さがあれば、先生の理想とする医院を作ることができますか?
これも考え方はいろいろあると思いますが、私の考えでは坪数は小さい方が良いことが多いように思います。
もちろん、狭すぎることは論外ですが、まず、坪数が小さければその分家賃が安くなります。
例えば坪10000円のテナントですと、20坪と30坪では、年間120万円の差が生じますが、これは30年という長期で考えると3600万円になりますので、これだけでも、なんとか私立の歯学部の学費の半分は賄える計算になります。
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ですから、特にご自身の後継者を何がなんでも育てて歯医者にしなくてはとお考えの先生は、広すぎるテナントを選択することは考えものかと思います。
実際に、診療所の面積が狭いことにより、ほかにもまだまだメリットはあります。
例えば、開業時の内装費が安くつきます。
大体歯科医院の平均的な内装費は1坪あたり45万円から60万円程度ですから、仮に内装費を坪あたり50万円とした場合、20坪であれば内装費は1000万円程度に抑えられますが、これが30坪だと1500万円になりますから、これだけでも、かなりの違いです。
メーカーや機種に特段の執着がない限りは500万円あればチェアーが新品で2台買えてしまいますから。
また、テナントの保証金もこれまたかなり違ってくるでしょう。先ほど申し上げたように、坪当たり1万円の物件であれば、テナントの保証金はおおよそ家賃の10カ月分が相場ですから、20坪と30坪の物件の間には100万円の保証料の差が生じます。
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